日本ツインテールアワード2015レポ(2)

8.リンクス
椎名ぴかりんO-EASTのフロアーの観客を土下座させた時点で午後5時半。開演から2時間半が過ぎた。そして、お目当てのDoll☆Elementsまではもう3時間もある。早く来すぎたかなー、という気がしてきた。気分転換にO-WESTに移るか、それともどこかで飯を入れてくるか。そういえばここに来る途中に餃子の王将があったな。どうしようかなー、と迷っているうちに、SEが流れて「リンクス」が登場してきたのでそのまま見る事にする。このグループの事はノーマークで、まったく知らない。去年のTIFに出場していたことも気づかなかった。そんなまっさらの状態で見た「リンクス」のライブだけれど、期待値の低さをひっくり返す、とても熱いライブだった!個人的には、この日一番良かったかもしれない!なにがそこまで自分のツボにハマったんだろう、と後からいろいろ考えてみたけど、「白い清楚な制服の衣装」「可愛らしい振り付け」「熱量を持ったパフォーマンス」「4人という自分好みの適度なメンバー数」「全員ツインテールの愛くるしさ」などなど、一言で言えば、ステージ上の少女が神聖な存在に見えるくらい、当時の自分の頭がおかしくなっていたのだろう、と言うしかないが、ひとつだけ客観的に確かな事は「楽曲がとても良い」という事である。
この日の披露曲
「TWIN STARS」
「ツバサノウタ」
「神回シンドローム」
「甘いミント」
はどれもアイドル対バンの現場で最大限に機能する、要するに初めて聞いた人でも直ぐに「うぉい!うぉい!」と合いの手を入れてノれるような超ポップな楽曲ぞろいなのだ。特に「ツバサノウタ」の♪おーおーおーというコーラスの高揚感や、「甘いミント」のイントロ無しで入る♪あーまいーみんとのーつーつみがみーという出サビフレーズの殺傷力が凄いと思った。ちょっと中だるみ状態だったO-EASTの空気が、「リンクス」のライブ中にみるみるうちに熱量が高まって行くのが分かった。どんな現場も沸かせるまさに“ライブアイドル”という感じ。こういうのが見たかったんだよ。こういうのが。

メンバーの一人がMCでツインテールにした感想を聞かれて「恥ずかしい…穴があったら入りたい…」と言っていた。堂々としたツインテール少女よりも、ツンテールなんて子供っぽい髪形を人目に晒すことを恥ずかしがるその羞恥心こそが、アイドルオタクにとっては美味しいんじゃなかろうか、とその時思った。

「リンクス」でアイドル鑑賞欲求が満たされたので、O-EASTを離脱した。
DUOで開催されている「第1回日本ツインテールアワード授賞式」に入場してみる。司会はやついいちろうとIVAN。IVANの長身痩躯でイケメンでハーフでオネエ系という、少女漫画の世界でしか見た事のない完璧生物ぶりに、ついつい見とれてしまう。この日はツインテールにしていてそれが稚気があって可愛かった。小さいやついいちろうとデカいIVANが2人並んでるのを見るだけで、ここが渋谷なんだな、というのが実感できた。各業界のツインテールを表彰する前に、dropのライブ(本日2回目)が始まるらしく準備をし始めたので、dropはもう見たから退避して他のアイドルを見ようと思いO-WESTに移動する。おかげで、「俺、ツインテールになります。」の作者の水沢夢先生が表彰されるところを見逃してしまった。まぁいいや。

9.dela

O-WESTに向かった理由はただ一つ。イベントが終了する前に、せっかく買ったドリンクチケットを使いたかったからである。O-WESTの会場内はライブの最中だったが、まずはバーカウンターを探して氷結を手に入れ、喉に流し込んだ。ひと心地ついたところで、ようやくステージに目を向けると、いかにもアイドル然としたフリフリした衣装の6人組がクルクルと舞うように踊っていた。機材トラブルから回復して、進行が元通りになっているとすれば、ステージ上に居るのは「dela」というグループである。その名の通り、名古屋を拠点に活動する地方アイドル、いわゆる「ロコドル」らしい。今日のイベントで初めて目にする「ロコドル」である。田舎から来た俺からすれば東京のアイドルの方がずっと貴重だけど、東京在住の地下アイドル愛好者からすれば、こうやって時たま上京するロコドルをチェックしたり、休みの日に追っかけて本拠地に行ってみたりするのが、より通な感じがして楽しいのだろうな、と思った。「dela」のライブの感想は「すごい可愛かった」という印象しかない。O-WESTは会場が小さく、ステージ上のアイドルが近く感じられる。それに、観客も少なかったので、踊りの合間に何度も目が合うのだった。「この娘オレを見て笑顔で手を振ってる。俺の事好きなのかな…。」とアホな事を考えながらボーっと見ていた。空腹の胃に氷結を流し込んで、脳が焼けていく状態で見たせいもあって、斜に構えた薄っぺらな評論家気どりの自分はいなくなって、ただ己の欲望に忠実な中年男性が剥き出しになっていた。まぁアイドルと言う職業はどんな広い会場でも目が合ってると観客に思わせなきゃいけないらしいし、「レス貰った」というアイドル用語もあるらしいので、自分も「dela」のライブでそういう「レスを貰う」気持ちがちょっとだけ味わえて良かった。ショー自体も可愛い子が多く華やかでとても良かったと思う。思わぬ掘り出し物だった。